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明日の身の丈


21年ぶりに日本映画の興行収入が、洋画のそれを抜いた。
そして、公開本数は、33年ぶりに400本を超えた。

その原因は、別に日本映画が面白くなった訳でも、
派手な洋画がつまらなくなった訳でも決してないんだ。

日本映画が昔に戻っただけだ。
日本の代表的な巨匠に黒澤明と小津安二郎の二人がいる。

黒澤は痛快な活劇。小津は家族をテーマにした紙芝居。
見た目には派手な活劇の方が、地味な紙芝居よりもズッと面白い。

それがハリウッド映画だ。
しかし、日本人の中にはそれに馴染まない部分も多々ある。

たしかに黒澤の活劇は、言葉に言い表し難いほど素晴らしい。だが、あれは別格だ。
あのハリウッドの猛者が模倣するレベルの活劇なので、例外としか言いようがない。

私は、日本人がこよなく愛す映画は、小津の紙芝居だと思う。
それを最初に思い出させてくれたのが、伊丹十三監督だと思った。

実に紙芝居だ。痛快に面白い。良質な小品という感じがたまらない。
派手なアクションもなければ、無闇にぶっ放す拳銃も出てこないんだ。

日本映画に拳銃が使われること自体が滑稽で、違和感を感じさせるんだ。
俳句の趣や味が英語では伝わらないのと同様に、わびさびも日本人特有の感性なんだ。

それをないがしろにして、見た目に派手な洋物に染まっていただけなんだ。
海外では一人芝居が受け入れられ難いんだ。間が、理解できないからだ。

小津が描く親と子の絶妙な間。ただ質素な庭を映しただけの静寂な場面。
これはアクション映画しか観ない奴には、まったく理解ができないはずだ。

確実に昔の日本映画の踏襲をここ最近は、感じる。
今までは戦うステージがまったく違っていたんだ。

今は、地味なショットなのに絶妙な間と深い味がある質のよい小品が多いんだ。
海の向こうの見た目に派手なものに憧れたところで、いつかは必ず廃るんだ。

食うものが違えば体格も違う。そして、ものの考え方も感情の起伏のポイントも違うんだ。
昨日の素晴らしいものを取り入れても、身の丈に合ったものしか明日に根付くことはない。

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コメント

ドイツ語の先生(ドイツ人)が、たけしの映画を観ての、カルチャーショックは「二人がお互いに見ないで並んで黙ってるシーンがあるけど、日本では、沈黙してるってのは分かり合えてることなんだってね! 僕らなら、普通は二人の雰囲気が悪いときだよね」こういうふうに国際理解が進むのって、良くない?

小津の映画がドイツのテレビで観られる現在って、すごくない?

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